夏の収穫

A&P LE JOURNAL JUILLET 2021

本日ご紹介するのは、コリアンダーです。

あなたの暮らしに喜びをと願いながら、今日も最高の精油探しを続けています。いよいよ夏の始まりを迎えた本日、あなたに心地よい爽やかな香りを放つコリアンダーをご紹介します。数年前に訪れた夏の中国で、私は雨傘のように茎をのばし茶色の種をつけたコリアンダーに出逢いました。水蒸気蒸留で採油されるコリアンダー精油には、フルーティさをもつ香りがあったことを今、懐かしく思い出しています。

 

CORIANDRE(コリアンダー)

Coriandrum sativum

科名 : セリ科
採油部分 : 種子
収穫時期 : 7月8月

 

コリアンダーはいくつも枝分かれをした滑らな葉を持つ一年草で、パセリによく似ています。その外観から、「中国パセリ」あるいは「アラビアパセリ」とも呼ばれることも。茎には細長くてギザギザした形のつややかな葉がなり、夏になると、いくつにも重なりながら白い花を咲かせます。その花はやがて丸みを帯びて芳香を持ち、ペッパーと同じくらいの大きさの種となります。草全体からは、昆虫たちにとって不快なにおいが放たれることから、学名の Coriandrum sativum は、カメムシという意味を持つ「grec koriandrom ギリシャのコリアンドロン」「 koros」からきています。しかし、成長した植物になるのは爽やかな香りを持つ種で、それらがていねいに収穫されて精油が作られるのです。刈り取って収穫される種は、美しいブラウンの色。得られたコリアンダー精油には、ハーバルでややフルーティな香りを感じとることができます。

古代エジプトのファラオに好まれ、王の棺にはコリアンダーが入れられていたそうです。コリアンダーという言葉は、古代エジプトの象形文字のみでなく、サンスクリット語やギリシャ、そしてローマの文献にも見つけられています。コリアンダーはまた、古代の人々にとって、アニス、キャラウェイ、ウイキョウに並ぶ、4つのホットシードのうちの1つでした。原産は、近東と地中海沿岸。スパイスとして、ローマ人によって、イギリスとヨーロッパ内陸に紹介されました。シャルルマーニュは農村計画「Capitulare de villis」の中で、コリアンダーの栽培を推奨しました。ルイ14世の時代では、とくにリシュリュー教皇にとって不可欠であったともいわれる「カルメスのメリッサ水」という有名なアルコール製剤の原材料として使われていました。

 

採油方法:水蒸気蒸留法

外観 :無色~薄黄色の液体

主成分:リナロール、アルファ・ピネン、カンファー、ガンマ・テルピネン

使用方法:フレグランス類、化粧品類、アロマテラピー、食品

 

Jean-Claude DEYME