夏を迎える前に
A&P LE JOURNAL JUIN 2021
本日ご紹介するのは、セロリシードです。
あなたの暮らしに喜びをと願いながら、今日も最高の精油を探し求めています。日に日に夏に近づくのを感じる今日この頃。この時期にあなたにご紹介したいのが、セロリシードの精油です。ハーバルでスパイシーな香り。暖かく素朴な印象の香り。これらは、セロリの香りを構成している、フタリドというγ-ラクトンとベンゼン環が組み合わされた構造を持つ有機化合物の特有のものです。
夏の始まりにインドを訪れた時、この植物が栽培されている様子を見学したことがあります。青々とした緑の葉を持つセロリの茎、そして種が収穫されていました。特徴ある香りが漂っていて、アニスを連想させるものでした。
Apium graveolens
科名 : セリ科
採油部分 : 種子
収穫時期 : 6月7月
セロリは「香ばしい痛み」と呼ばれることもある、二年草の野菜です。1年目にタンポポのような葉のベース部分が形作られ、翌年に花を咲かせます。花の色は白から薄緑。濃い緑色をした葉は、切込みが入った形をしていて、ラベージ(ロベージ、ラビッジ、ラベッジ、学名:Levisticum officinale) とよく似ています。
セロリには、いくつかの品種があり、形態はさまざまです。セロリアック、ホワイトセロリ、セロリ・ア・クッペなどは、食用に栽培されているもの。これらは、2000年以上前のエジプトで、野性の品種から得られたものだと考えられています。
オイルを採油するために用いられるのはワイルドセロリです。スワンプセロリとも呼ばれます。種子の収穫が行われるのは、6月、7月です。セロリの茎を早朝に切り取り、数時間乾燥させた後、茎をたたいて種を落とします。抽出作業が行われる直前に種をつぶして、効率よく採油が行われるようにします。こうして得られた精油の香りは、ご存知の通り、ハーバルでスパイシー。
エジプトと 古代ギリシャで好まれたこの野菜は、ローマ時代の食卓に登場しています。食用としてだけでなく、薬用植物としても栽培されていました。そして、このことは、シャルルマーニュの農村計画「Capitulare de villis」でも語られています。古代の人々にとって、この「香ばしい痛み」は、アスパラガス、フェンネル、パセリ、フラゴンと並んで食前酒のために使われる「5つの根」の1つ。4つのホットスパイスと呼ばれた古代人が使ったスパイスの1つに数えられるほど、頻繁に使用されていたことが知られています。
採油方法:水蒸気蒸留法
外観 :無色~黄色の液体
主成分:D-リモネン、ベタセリネン、セダノライド
使用方法:フレグランス類、化粧品類、アロマテラピー、食品
Jean-Claude DEYME