ハイブリッドの香り

A&P LE JOURNAL AOUT 2022

本日ご紹介するのは、ラバンジンです。

あなたの暮らしに喜びをと願いながら、今日も最高の精油探しを続けています。南仏に滞在していたある夏に、道路の両脇に広がる鮮やかな青紫色を見たことを思い出しつつ、今日は美しい色をした花、ラバンジンをご紹介しようと思います。

香りはくっきりと心に刻まれています。カンファーかつフローラルな香りが、夏の太陽に照らされて立ち上っていました。その畑では伝統的な抽出方法でラバンジン精油が生産されていて、私は、その様子を見学させてもらう機会を得ました。

ラバンジン

LAVANDIN(ラバンジン)

Lavandula hybrida

科名 : シソ科
採油部分 : 花・葉・茎
収穫時期 : 7月、8

 

ラバンジンは、真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)とスパイクラベンダー(Lavandula latifolia)が自然交配して誕生したものです。そのため、ラバンジンには、これら両方の特徴があります。たとえば、花の色は、真正ラベンダーの濃い青紫色からスパイクラベンターの灰色がかったものまであります。そして、スパイクラベンダーのような丈夫さとカンファ―調の香りも持ち合わせています。

開花されたラバンジンの収穫は、通常8月に行われます。開花時期は、真正ラベンダーとスパイクラベンダーの中間です。収穫は機械によって行われ、刈り取られた後に小さく刻まれます。そして、蒸留は乾燥させずに行われます。この蒸留方法は、「broyé en vert」と呼ばれるものです。

ところで、ラバンジンの交配は、昆虫の受粉によるものでした。そのため、この植物は、親種である真正ラベンダーとスパイクラベンダーの生育する場所で育ちます。真正ラベンダーは、南フランスの標高500メートル以上の場所に育ち、スパイクラベンダーは標高700メートル以上では自生しません。すると、ラバンジンが育つのは、2つの中間ゾーンである500~700メートルの場所。交配種のため繁殖力はなく、ソメイヨシノと同じく、ラバンジンの全ての個体は遺伝的に同じ、クローンであることも付け加えて説明しておきましょう。

これまでに、ラバンジンにはいくかのカテゴリーがつくられてきました。スーパー、グロッソ、アブリアル、スミアンの4つです。栽培が始まったのは、第二次世界大戦前から。もともとは、高級な真正ラベンダーの廉価バージョンとして使われていましたが、現在では、ラバンジンの香りの特徴が認識されるようになり、現在では精油としての価値が見出されています。

 

採油方法:水蒸気蒸留法

外観 :無色透明~薄黄色の液体

主成分:リナロール、酢酸リナロール、カンファー

使用方法:フレグランス類、アロマテラピー、コスメティック、食品

 

Jean-Claude DEYME