芳香豊かでスパイシーな秋の香り
&P LE JOURNAL SEPTEMBRE 2025
本日ご紹介するのは、ミルラです。
あなたの暮らしにいつも最高のエッセンシャルオイルを探し、ソマリアへの旅行中に、秋の到来を思いながら、節くれだった幹を持つ木々を発見しました。その樹脂の滴を収穫することで、スパイシーな香りとバルサミックで芳醇な香りのエッセンシャルオイルが生み出されます。
MYRRHE(ミルラ)
Commiphora myrrha
科名:カンラン科
採油部分 : 樹脂
収穫時期 : 1月/7月/8月/9月/10月/11月
ミルラは、宗教儀式で用いられる最も古い精油の一つです。エジプトのパピルス文書には、紀元前2000年頃にはすでにその存在が記録されています。ミルラは、神々への供物として煙を焚く儀式や、住居や衣服を清めるために使用されました。また、ミイラを作るために用いられました。聖書にも複数回登場します。それは、三賢者が幼子イエスに贈った贈り物のひとつで、金と乳香と共に贈られました。
ミルラは、乳香やエレミと同じカンラン科(Burseraceae)に属する木から採れる、非常に香りの強いオレオレジン(Oleoresin)です。この木は、砂漠や半砂漠の気候下で生育します。オレオレジンは、木の節の多い幹に切り込みを入れることで生産され、生産は一年中行われることがあります。収穫後、不純物を取り除く作業を経て、海外の蒸留工場へ輸送されます。
ミルラは、水蒸気蒸留法により抽出され、収率が非常に低く、樹脂の6~8%程度です。その特徴は、ローズマリーとレモンの香りを思わせる、甘く、芳香豊かでスパイシーでバルサミックな香りです。Commiphora種は多く存在し、香水業界で利用されているミルラの木は2種類のみです。Commipora myrrha(ビターミルラまたはヘラボルミルラ)と、Commiphora erythrea(スイートミルラまたはビサボルミルラ)です。これらは、香りの特徴が明確に異なります。
ミルラ「Myrrhe」という言葉は、ギリシャ語の「Myrra」に由来し、ギリシャ神話の中で、アドニスの母であるミラは狂乱し、アドニスは、神々に「彼女を死んでも生きてもいないものに変えて欲しい」と願いました。彼女はミルラの木となり、その名を与えられたのです。
ミルラの香りは、秋の森で見つけた新鮮なキノコの香り、ウッディで温かみのある香り、そしてスモーキーで安らぎを与えます。また、スパイシーな香りも感じられます。香水にミルラが用いられるのは、オリエンタルノートのミドルノートや甘草(リコリス)の香りを引き立てたい時です。ウッディノートを強調させる役割も果たしてくれる、まさに天の恵みの香りです。
採油方法:水蒸気蒸留法
外観 :黄褐色から黄緑褐色の粘性を持つ液体
主成分:フラノユーデスマ-1,3-ジエン、クルゼレン、リンデストレン
使用方法:アロマテラピー、香水、化粧品類、食品
Jean-Claude DEYME