ほのかにスモーキーな秋の香り

A&P LE JOURNAL  OCTOBRE 2025

本日ご紹介するのは、オークモスです。

日々の暮らしにいつも最高のエッセンシャルオイルを探しながら、深まる秋にバルカン半島の旅の中で、オークなどの樹木の幹に生えている地衣類を発見しました。この地衣類は、ウッディでアーシー、そしてスモーキーな香りを持つアブソリュートを抽出するために採取されます。

A.MOUSSE DE CHENE (オークモス)

Evernia prunastri

科名:セルオガセ科
採油部分 : 苔
収穫時期 :  7月/8月/9月

オークモスは、力強く、ウッディで土っぽい香りを放ちます。キノコと藻の香りがほのかに漂います。包み込まれるような、安心感を与えてくれる男性的な香りです。土や湿った下草、そして晩秋の庭の栗の木の下の湿った枯れ葉を思い起こさせます。

ウッディ、アーシー、そしてほのかなスモーキーさを帯びたその香りは、一見すると魅力を感じないかもしれません。しかし、香水に豊かな温かさと官能性をもたらします。その香りは、他に類を見ないほど独創的で、シプレ・アコードを作る上で欠かせないベースの一つとなっています。

オークモスは、香水に豊かさを与え、フゼア、ウッディ、オリエンタルの香水にも用いられています。そして保有性があるため、揮発性の高いトップノートやミドルノートを持続させるためにも用いられます。

男性向けおよび女性向けのシプレの香水によく使用されているオークモス・アブソリュートは、1917年にコティが開発したシプレアコードのベースであり、温かみのある官能的な仕上がりに必要な、わずかにスモーキーで土っぽいトーンをもたらします。ウッディな男性向け香水では、オークモス・アブソリュートの湿った土、キノコ、下草の香りが、その気高さを最大限に引き出します。

菌類と藻類の交配種であるオークモスは、オーク、柳、トネリコ、松などの樹木に生息する地衣類です。人や汚染物質の影響から遠く離れた場所に生息しています。オークモスはシプレアコードを作るのに欠かせない存在です。力強くウッディでアーシーな香りに、キノコと藻類のニュアンスが加わり、シプレやオリエンタルの香水のベースノートとして用いられます。また、香水ではウッディノートを持続させるために使われます。

 

採油方法:溶剤抽出法

外観 :深緑色の粘性を持つ液体

主成分:オルチノール, 2,4-ジヒドクシ-3,6-ジメチル-メチルベンゾアート, エチルオルセリナート

使用方法:アロマテラピー、香水、化粧品類、食品

 

 

Jean-Claude DEYME