秋の始まりに

A&P LE JOURNAL OCTOBER 2020

本日ご紹介するのは、ジャスミンです。

あなたの暮らしに喜びをと願いながら、いつも最高の精油を探しています。そんな中、秋の始まりにぜひご紹介しようと思いついたのが、ジャスミンです。秋の始まりに、甘やかなこの香りを。香水の原材料やアロマテラピーに頻繁に使われるジャスミン。この香りが持つ様々なノートを、ひとつひとつ、一緒に見つけていきましょう。

 

JASMIN(ジャスミン)

Jasminum grandiflorum L.

 

濃い緑色の葉を持ち、つるを伸ばして成長するJasminum grandiflorum L.は、夏の終わりに、ピンクがかった小さな白い花を咲かせます。ジャスミンの花は、何世紀にもわたって、東洋における愛と女性の誘惑の象徴と見なされてきました。ちなみに、厚みのある花弁をもつサンバックジャスミンの白い花とは異なるものです。

香りの素晴らしさは誰もが知っているとおりです。神聖でフェミニンな王道の香りを持つJasminum grandiflorum L.のアブソリュート、甘く、深く、妖艶で、力強ささえも感じられます。

ジャスミンは、ローズと共に、香水においては欠かせない存在です。今日では、主にインドとエジプトで栽培されており、エジプトからのアブソリュートは、インド産のものより、アニマルノートが強く感じられます。

原産地は、北インドと東インド。ムーアによってヨーロッパに持ち込まれ、さらに16世紀になると、スペインの航海士によって持ち運ばれました。1930年代まで、ジャスミンの主な生産地域は、南仏の町グラースでした。グラースの街のシンボルともいえるジャスミン祭り、ジャスミナードは、今でもそのことを物語っています。

ジャスミンの花摘みは、繊細な甘い香りを失わないように夜明け前に行われます。そして摘み取られた花には、素早く処理が施されます。最初にヘキサンで抽出されてコンクリートが作られます。次にそのコンクリートからエタノールによって香りを抽出。こうしてかの有名なアブソリュートが完成するのです。

3キロのコンクリートと1.5~2キロのジャスミンアブソリュートを生産するには、1トンの新鮮な花が必要です。

 

採油方法:溶剤抽出法

外観 :濃い黄色または琥珀色から赤褐色、粘性のある液体

主成分:ベンジルアセテート、ベンジルベンゾアート、スクアレンオキサイド、フィトール

使用方法:アロマテラピー、フレグランス類、化粧品類、食品

 

Jean-Claude DEYME