プロヴァンスで出会った紫色のハーバルな香り
A&P LE JOURNAL AOUT 2026
本日ご紹介するのは、スパイク・ラベンダーです。
あなたの暮らしに喜びをと願いながら、今日も最高の精油探しを続けています。ある夏の日、南仏プロヴァンス北部の地を訪れた際、色鮮やかで濃い紫色を帯び、力強い香りを放つ低木の群生に出会いました。そこから蒸留によって抽出されたエッセンシャルオイルは、ハーバルでカンファ―(樟脳)を思わせる香りを特徴としています。

スパイクラベンダー
Lavandula latifolia Medik.
科名:シソ科
採油部分 : 花穂
スパイクラベンダーは、丸みを帯びた形状で芳香を放つ低木です。トゥルー・ラベンダー(真正ラベンダー)に似ていますが、植物学的には明確に異なる特徴を持っています。花の色はより柔らかなスミレ色をしており、産毛に覆われた灰緑色の葉は幅広くなっています。この葉の特徴から、「ブロード・リーフ・ラベンダー(広葉ラベンダー)という別名でも呼ばれます。スパイク・ラベンダーは地中海沿岸の温帯地域、特にスペイン(最大の生産国)やフランス南部に自生しています。トゥルー・ラベンダーとは異なり、標高700メートルまでの比較的低い地域でよく育ちます。本種は「個体群」としてのラベンダーであり、自然に発芽した種子から育った株で構成されています。開花時期にあたる8月に茎が収穫されます。スパイク・ラベンダーは栽培されるものではなく、野生の状態で生育しています。そのため、収穫期には、スペインの乾燥した大地を歩き回って採取が行われます。こうして得られる精油は、素朴でハーバルな香りを持ち、力強いカンファ―(樟脳)のニュアンスを含んでいます。このカンファ―の香りは、スパイク・ラベンダーとトゥルー・ラベンダーの交配種である「ラバンジン」にも受け継がれている特徴です。
古代には「ナルド(Nard)」の名で知られていたラベンダー・エッセンスは、トゥルー・ラベンダーとスパイク・ラベンダーをブレンドしたものでした。当時プロヴァンス地方に豊富に自生していた植物から抽出されていたものと考えられます。12世紀に修道院ヒルデガルトによって初めて区別・認識されたスパイク・ラベンダーは、その時代に医学の世界で注目を集めるようになりました。13世紀の医学書にもその名が見られ、あらゆる病を癒すものとして知られていました。さらには、貞潔を促すとされるスパイク・ラベンダーとローズマリーを用いた療法まで存在し、素行に問題があるとみなされてウルスラ会修道院に送られた若い女性たちに処方されていました。
採油方法:水蒸気蒸留
外観 :無色~淡黄色~淡橙色
主成分:リナロール、1.8‐シネオール、カンファ―
