秋の穏やかな果実の香り
A&P LE JOURNAL NOVEMBRE 2025
本日ご紹介するのは、プチグレンです。
常に最高のエッセンシャルオイルを求めて、秋の訪れを想いつつ、スペインへの出張中に、小さな緑の実と葉の茂った枝を持つ木々を見つけました。その木々から抽出されるエッセンシャルオイルは、オレンジの花の草花と花の香りを持ち、調香師たちに高く評価されています。

E.PETIT GRAIN (プチグレン)
Citrus aurantium
科名:ミカン科
採油部分 : 葉付き小枝
収穫時期 : 1月/2月/6月/7月/8月/9月/10月/11月/12月
プチグレンという名称は、もともとビターオレンジの小さな緑色の果実を指して使われ、後にその精油の名称になりました。さらに、ビターオレンジの葉から得られる精油にもこの名称が使われるようになりました。柑橘類(Citrus)には、グレープフルーツ(ポメロとスイートオレンジの交雑種)など、多くの交雑種が含まれます。パラグアイでプチグレン精油を生産するために栽培されている柑橘類は、ビターオレンジ(Citrus aurantium)と、スイートオレンジ(Citrus sinensis)の交雑種です。実際、ビターオレンジはパラグアイでは生育しませんが、「スイートビターオレンジ」と呼ばれる交雑種は非常に栽培しやすいです。スイートビターオレンジは、Citrus aurantiumと同じ植物学的特性を持ちます。光沢のある緑色の葉、香りの良い花、そして苦みのある果実を持ちます。しかし、果肉はビターオレンジよりもわずかに甘いです。葉のついた枝は6月から1月にかけて収穫されます。パラグアイでは、木々は低木のまま剪定されます。収穫された葉はそのまま蒸留され、そこから得られるエッセンシャルオイルは、オレンジの花を思わせる草本的でフローラルの香りです。
ビターオレンジは東南アジア原産と考えられており、ペルシャとインドに導入され、10世紀から11世紀にかけてアラブ人によって地中海沿岸地域に広まりました。18世紀から19世紀にかけての新大陸植民地化の過程で、スペインのイエズス会士や入植者たちは、スイートオレンジとビターオレンジの植物を持ち込み、キャンプ地周辺に植えました。徐々にオレンジの木はパラグアイの森林やジャングルに自生するようになり、パラグアイのスイートオレンジを含む様々な交配種が生み出されました。パラグアイのプチグレンからのエッセンシャルオイルの生産は、1880年にフランスの植物学者ベンジャミン・バランサによって開始されました。
採油方法:水蒸気蒸留
外観 :ほぼ無色から淡黄色の液体
主成分:リナリルアセテート、リナロール
使用方法:アロマテラピー、香水、化粧品類、食品

Jean-Claude DEYME
