時を超えて愛されるシナモンの香り

A&P LE JOURNAL OCTOBRE 2026

本日ご紹介するのは、シナモンリーフです。

心から楽しんでいただける、上質なエッセンシャルオイルを求めて、わたしたちは世界各地を訪れ、植物との新たな出会いを重ねています。そんな中で、秋の訪れとともに中国を旅していた際、ある一本の常緑樹に心惹かれました。その木は、小さく淡い黄色の花が咲き、葉を蒸留して得られるエッセンシャルオイルからは、スパイシーでありながらウッディな印象を持つ、アーモンドを思わせる豊かで魅力的な香りが広がります。

 E.CANNELLE FEUILLE

シナモンリーフ

Cinnamomum cassia Nees ex Blume

科名:クスノキ科
採油部分 : 葉

「カシア」の名でも知られるシナニッケイ(Chinese cinnamon tree)は、常緑樹の一種です。収穫をしやすくするため、一般的には低木状に剪定して育てられています。中国を原産地とし、南東部の広西チワン族自治区や広東省では、半野生の状態、または栽培によって育てられています。滑らかで楕円形をした葉には、はっきりとした葉脈が見られ、クスノキ属(Cinnamomum)特有のものです。また、シューウッド(Shiu wood)と同じ科に属する植物です。淡い黄色の小さな花を咲かせ、その後、オリーブほどの大きさの果実を実らせます。成木になるまでには、およそ10~12年の歳月を要します。収穫された葉は丁寧に乾燥させた後、蒸留されます。こうして得られるエッセンシャルオイルは、スパイシーでありながらウッディな香調を持ち、そこにアーモンドを思わせる、豊かで魅力的なニュアンスが重なります。

シナモン(中国産シナモン)は、今からおよそ5000年近く前から、その存在が知られていたとされています。紀元前2700年頃、神農(しんのう)帝の治世下に編纂された中国の薬物書には、すでにシナモンの用途が記されています。宮廷では貴重なものとして珍重され、また、古くから伝統料理にも用いられてきました。その名は、サンスクリット語の文献や聖書にも登場し、当時は「シンナモムム(Cinnamomum)」と呼ばれていました。この名称は、ギリシャ語で「中国のスパイス」を意味する「キンナモン(kinnamon)」や「キンナモーモン(kinnamomon)」に由来するとされています。スパイス・ルートを行き交ったアラブの商人たちは、シナモンの供給源を明かさないよう細心の注意を払い、その希少性を守るため、シナモンの木にまつわるさまざまな神話を語り継ぎました。古代の人々を魅了したこの木は、特別な場所にしか生育しないと信じられていたのです。『雅歌(がか)』の中でも、ソロモン王は、ナルド、サフラン、カシア、そしてシナモンの香りが漂う、官能的で美しい庭園を描いています。長い時を超えて人々を惹きつけてきたシナモン。その芳香は、古代から現代に至るまで、特別な香りとして受け継がれています。

 

採油方法:水蒸気蒸留

外観 :流動性のある液体 黄色~赤褐色

主成分:シンナムアルデヒド、o-メトキシシンナムアルデヒド

 

 

この連載を紡ぐ人

収穫カレンダーは、世界各地の産地を旅し、
素材と向き合うジャン=クロード・デイム が紡ぐ連載です。


香料開発について問い合わせる