光の精油、パインニードル

A&P LE JOURNAL AOUT 2024

本日ご紹介するのは 、パインニードルです。

あなたの暮らしに喜びをと願いながら、今日も最高の精油探しを続けています。

夏真っ盛りのいま、私はオーストリアの旅で見た松の木のことを思い出しています。それは灰色がかった青緑色をした美しい針葉を持つ大きな木でした。ここで私は、ミントの香りとシプレ様の香りを持つ、ウッディなパインニードルの精油の蒸留作業に立ち会う機会を得たのです。 

 

 

PIN SYLVERSTRE(パインニードル)

Pinus sylvestris

科名 : マツ科
採油部分 : 葉・球果
収穫時期 : 5月~10月

 

 

パインニードルの精油には、フレッシュなミントの香りを感じることができます。その爽やかな香りは、コロンやシプレ香水、あるいはフゼア香水に活用されています。テレビン油のようなパインニードルの香りはウッディノートとよく調和しますが、なかでもシダーウッドのようなドライなウッディノートとの相性は抜群です。

薬理効果としてうたわれるのは、充血を除去する作用、呼吸器を健康に保つ作用、抗炎作用です。

シベリアから小アジアに至るまでのヨーロッパ全土に広く生育するこの木は、「Pin sylvestre(セイヨウアカマツ、ヨーロッパアカマツ、パイン)」 または「北の松」と呼ばれていて、松の種類の中でもヨーロッパで最も多く栽培されているものです。

セイヨウアカマツは、裸の土地に植えられる植物としても知られています。痩せた土壌に森林を作り、そこから他の植物の栄養が作り出されることを目的に植林されています。

木の幹は細長く、天辺には帽子のような丸い樹冠を持ちます。高さは40メートル以上になり、500年以上生き延びるものもあります。ひび割れた樹皮の色はレンガ色をしていて、その色が灰色がかった青緑の葉と対照的であるために、「赤松」というニックネームが付けられました。針葉は2本が一対になっています。この針葉を蒸留することで、パインニードルの精油が採り出されます。

パインニードルの収穫時期は、春から初冬にかけてです。ウッディノートと樹脂の心地よい香りは、シベリアマツの香りを彷彿とさせます。オーストリアのチロル地方で生産されるものが、最高品質のパインニードルとされています。

太陽の光を求めてぐんぐんと背を伸ばすセイヨウアカマツは、光の精油でもあります。これを象徴するかのように、多くの文化圏において「光の達人」と呼ばれています。

アメリカ原民族のイロコイ族にとっては、彼は空の看視者です。ネズ・パース族は、この松だけが火の秘密を知ると信じています。フランスのコルシカ島では「松明の木」と呼ばれ、お供えものとして火がつけられ辺りを照らします。樹脂を多く含んでいるために、燃料としても優れた役割を果たすのです。中国の三大宗教の一つである道教では、永遠の火の守護者であり、不老不死を象徴的するものとされています。

 

採油方法:水蒸気蒸留法

外観 :無色~薄黄色の液体

主成分:αピネン、δ-3-カレン、β-ピネン、リモネン、ミルセン

使用方法:アロマテラピー、香水、化粧品、食品

 

Jean-Claude DEYME