緑の季節に

A&P LE JOURNAL MAI 2023

本日ご紹介するのは、バイオレットリーフです。

あなたの暮らしに喜びをと願いながら、今日も最高の精油探しを続けています。緑が美しい季節の今、ぜひあなたにご紹介したい香りはバイオレットリーフ。南フランスでの滞在時に訪れたスミレ畑のことが思い起こされます。

スミレの花の青紫色、鮮やかな緑色。この植物は収穫されるとすぐその日に精油を得るための作業が行われます。抽出されるのは葉の部分です。ここから草の緑の匂いを持つアブソリュートが得られるのです。

 

FEUILLE DE VIOLETTE(バイオレットリーフ)

Viola odorata

科名 : スミレ科
採油部分 : 葉
収穫時期 : 5681012月

 

スミレのつぼみは奥ゆかしく、バラ飾りのような形をした葉に包まれています。花が咲くまで傷つくことなく、葉の中に覆い隠されているのです。そしてある日ひっそりと、紫色の可憐なドレスを見せてくれます。

その昔、スミレの花から採られたエッセンスは、人気を博したものでした。しかし、採油率が低いことから、しだいにイオノンなどの合成香料が好まれるようになります。

一方で、アブソリュートとして抽出されるスミレの葉の香りは、天然のグリーンノートで、神秘的な印象を香水に与えてくれます。

スミレの葉の収穫作業は12月から5月にかけて行われます。収穫されたその日に抽出作業が行われ、ハーバルでグリーン、そしてフローラルな精油が完成します。

「スミレ/Violette」という名前の語源はギリシャ神話にあります。植物の科名スミレ科はアルファベットでViolaといい、ギリシャ語で巫女イオ(イーオー)を表すイオンに由来すると考えられています。ゼウスは美しいイオを愛し、妻のヘラの怒りから逃れるために彼女を牛に変えました。そして、彼は大地に自分の愛人イオを養うために葉で彼女の身を覆うように頼んだという話です。

この「イオ」という言葉は、スミレの香りを表す芳香分子イオノンの中に使われています。もちろん、Violetteの語源はここからきています。

ヨーロッパ原産の自生種である香りのよいスミレの花は、現在、アジア、北アメリカ、地中海地域(とくにエジプト)、そしてフランスのトゥルネット・シュール・ルーで栽培されています。バイオレットリーフの抽出が最初に行われたのは1867年、フランスのグラースでしたが、今ではエジプトのナツメヤシの木陰でその栽培が盛んに行われています。

 

採油方法:溶剤抽出法

外観 :濃緑色~緑褐色の粘性の高い液体

主成分:リノール酸、リノレン酸、パルチミン酸、およびそれらのエステル類

使用方法:アロマテラピー、香水、化粧品、食品

 

Jean-Claude DEYME