夏の始まりに
A&P LE JOURNAL JUIN 2023
本日ご紹介するのは、ローズ・ゼラニウムです。
あなたの暮らしに喜びをと願いながら、今日も最高の精油探しを続けています。夏が始まる今、ぜひあなたにご紹介したい香りは、マダガスカル産ゼラニウムの香り。いつか、鮮やかな色を持つ花を咲かせたゼラニウムから、シトロネラやミントを思わせるゼラニウムの精油が作られる様子を見学させてもらったことを思い起こしながら、今日はゼラニウムのお話をしてみたいと思います。
Pelargonium graveolens
科名 : フウロソウ科
採油部分 : 全草
収穫時期 : 6、7、8、9月
ゼラニウムはバラの香りに似ていることから、ローズ・ゼラニウムと呼ばれることがあります。この植物の葉を手で握れば、心地よいバラの香りがすることをご存知でしょう。波を打ったその葉は細かな毛でおおわれていて、そこには精油がたっぷりと含まれています。花弁の数は5つ。紫の縞模様が入ったピンク色をしています。
学名のPelargoniumは、ギリシャ語で「コウノトリ」を意味していて、ゼラニウムという一般名はラテン語で「鶴」を意味します。これら2つが鳥に関係しているのは、種子の形が鳥の長いくちばしに似ているからです。これらの鳥は、中国の道教では不死、日本では長寿、エジプトでは繁栄を象徴するものです。
収穫は、夏の真っただ中に行われます。鎌で切り取った葉の生い茂った小枝を時間をおかずに蒸留して精油を採り出します。ゼラニウムには、レモングラスとミントが同時に香り立つバラの香りがあります。
ゼラニウムの原産は、南アフリカのケープ州です。16世紀に希望峰を通りかかった旅行者によってヨーロッパの庭園に持ち込まれました。当時、西洋では香水や薬用植物としてはみなされていませんでした。香水としてのバラの香りの人気が高まり、高価なものになった時に、バラの香りを持つゼラニウムが、パルマローザやレモングラスと共に、「オイル」の形で東インド諸島から輸入されるようになります。その後、需要が高まり、それを満たすために、グラース、コルシカ島、アルジェリア、スペインで、これらの植物が栽培されるようになりました。
こうして、1819年、ローズ・ゼラニウムはバラの代替品として調香師に使用されるようになります。そして現在、ローズ・ゼラニウムと呼ばれるものの多くは、中国、エジプト、マダガスカルで栽培されています。
採油方法:水蒸気蒸留法
外観 :黄褐色~黄緑色の液体
主成分:シトロネロール、ゲラニオール、イソメントン、ギ酸シトロネリル
使用方法:アロマテラピー、香水、化粧品、食品
Jean-Claude DEYME