秋に想いを馳せて

A&P LE JOURNAL NOVEMBRE 2022

本日ご紹介するのは、シダーウッドバージニアです。

あなたの暮らしに喜びをと願いながら、今日も最高の精油探しを続けています。深まる秋、この季節にあなたにぜひ紹介したい精油は、シダーウッドバージニア。今月は、私が北アメリカを旅していた時に目にした常緑樹、うろこ状の針のような形をした葉を持つシダーウッドの葉から採れる精油についてお話しましょう。紫色や茶色をした果実は、ジュニパーによく似ています。精油が採られるのは、心材から。豊かなシダーウッドの香りを放つ、赤茶色をした木の幹です。

 

CEDRE DE VIRGINIE (シダーウッドバージニア)

Juniperus virginiana

 

科名 : ヒノキ科
採油部分 : 木
収穫時期 : 通年

 

シダーウッドバージニアは、高さが30メートルにも達する針葉樹です。成長は遅く、北アメリカのロッキー山脈の東海岸に自生しています。ジュニパーやそれと関連のあるサイプレスと同じヒノキ科に属します。これらが持つ常緑の葉はどれも、うろこ状で針のような形をしているので、関連性がよく分かるでしょう。赤紫色をした球状の果実は、ジュニパーベリーを連想させるもの。幹が赤褐色をしていることから、「レッドシダー」とも呼ばれています。

シダーウッドバージニアの精油は、アメリカの製材所が排出するおがくずや削りくずから蒸留されます。アトラスシダーなどの「シダーウッド」の香りを持ちますが、鉛筆のような印象的な香りを持つことが、シダーウッドバージニアの精油の特徴です。

1917年以前、シダーウッドバージニアは主に鉛筆の製造に使われていました。これに使われたのは、太く真っすぐに伸びた節のない野生の木で、たっぷりとした心材部分を持つものでした。鉛筆の製造で残った木材部分は回収されて、精油を蒸留するために使われていました。ところが、1910年からは天然資源が枯渇し始め、鉛筆の生産は衰退します。そこで、1917年以降、精油を蒸留会社たちは製材所に目を向けたのです。こうして、シダーウッドバージニアのおがくずと削りくずが精油の原材料となり、蒸留会社たちは製材所から調達し始めるようになりました。使用される素材は、より若くて辺材部分が大きい木となりましたが、精油の品質に影響はありません。こうして、これらが現在、私たちが手にするシダーウッドバージニアの精油の原材料となっています。

 

採油方法:水蒸気蒸留法

外観 :無色~黄色の粘性のある液体

主成分:ツヨセン、セドレンα、セドロール

使用方法:フレグランス類、化粧品類、アロマテラピー、食品

 

Jean-Claude DEYME