春の訪れを感じつつ
A&P LE JOURNAL MARS 2023
本日ご紹介するのは、クローブです。
あなたの暮らしに喜びをと願いながら、今日も最高の精油探しを続けています。春の訪れを感じながら、あなたにご紹介したいと思いついた今月の香りはクローブ。インドネシアへの旅行中に見つけた、香り高い常緑樹のお話をしましょう。
クローはつぼみから香りが抽出されますが、そのつぼみの収穫は、手作業で行われます。そして蒸留前に乾燥させれ、抽出される香りはスパイシーでウッディ。ときにフルーティな香りを持ち合わせる精油です。
GIROFLE(クローブ)
Eugenia caryophyllata
科名 : フトモモ科
採油部分 : 花蕾
収穫時期 : 1月~5月、8月~10月
熱帯気候で育つクローブの木の原産地は、インドネシアのモルッカ諸島で、15メートルの高さにまで育ちます。香りが得られるのは、花のつぼみと葉からです。同じフトモモ科には、ユーカリやティートリー、カユプテがあり、これらも香りのよい木としてよく知られるものばかり。
花のつぼみが収穫されるのは、樹齢5年以上のものからで、作業は手作業で行われます。そして、作業をする地元の人々はこれらを収穫するのに、木に登らなくてはなりません。しかも、花の成長は、花ごとによって異なるため、何度もこの作業が繰り返されることになります。こうして摘み取られた貴重なつぼみは、乾燥され、その後に蒸留され、ウッディやフルーティノートを備えたスパイシーな精油が誕生するのです。
クローブが最初に使われたのは、紀元前1500年にまでさかのぼります。伝えられたところによれば、シリアでの発掘作業中にクローブの化石が発見されたとのこと。それが活用されていた事実は、紀元前1500年に書かれたアーユルヴェーダの医学書に記されていました。そして、中国の漢王朝の宮廷(紀元前220年~206年)では、皇帝と接せる前にはクローブを噛むという習慣があったとのこと。
ヨーロッパのアラブ人によって輸入されてから、クローブの人気は高まり、商業取引が盛んになりました。ポルトガル人(1524年)とオランダ人(1605年)によるモルッカ諸島の侵略によって、200年以上も独占されることになりますが、フランス領の南の島々にクローブとナツメグをもたらしたフランス人宣教師ピエール・ポワブルによって、その独占が終焉しました。
採油方法:水蒸気蒸留法
外観 :黄色~薄茶色の液体(わずかな粘性を持つこともある)
主成分:オイゲノール、酢酸オイゲニル、βカリオフィレン
使用方法:フレグランス類、化粧品類、アロマテラピー、食品
Jean-Claude DEYME