冬の寒さにも負けず。
A&P LE JOURNAL JANVIER 2023
本日ご紹介するのは、サイプレスです。
あなたの暮らしに喜びをと願いながら、今日も最高の精油探しを続けています。身に染みる寒さを感じる今、あなたに紹介しようと思った精油は、サイプレス。今月は、私がスペインを訪れた時に見た、サンプレスの木から思い出されるこの精油のお話をしましょう。
小さな葉に覆われているサイプレスの木は、30メートルほどの高さまでになる針葉樹です。香りはウッディで樹脂様の特徴あるテルペンノート。ローレルリーフのようなアロマティックノートも持ち合わせています。それだけでなく、オーデコロンやアロマティックフゼアの香水に見つけられるような、パイン精油を思わせる特徴的な香りを持っています。ドライウッドの香り、例えばシダーウッドと組み合わせると素晴らしいアコードが生まれて、オリジナリティのあるフレッシュな香りが誕生します。
Cupressus sempervirens
科名 : ヒノキ科
採油部分 : 枝
収穫時期 : 通年
サイプレスの原産は、小アジア(アナトリア)です。地中海盆地全体で生育するようになり、地中海を象徴する木となりました。高さは30メートル、寿命は数百年にも及びます。学名に「sempervirens」とあるのは、重なり合うウロコのような緑の葉が年中常に緑であることによるもので、「常に緑」という意味です。多くの枝を持ち、それぞれが密集しているために、サイプレスの木の形はまるでろうそくのよう。この若い葉をつけた小枝が、精油を採り出すための原材料として使われます。4~5年ごとに木の伐採をして収穫が行われ、際立ったテルペンノートの精油が得られます。
西洋では、サイプレスは不死身の象徴です。墓地の守護者であり、故人の魂を守る木として知られます。イランにおいては、重要な建築物を守るためにその周囲にサイプレスが植えられていました。天に向かって伸びるサイプレスは、楽園の木であり、その木に囲まれた場所は神に続く道とみなされていたのです。
サイプレスの木は腐敗しないことから、今日でもカトリック教会の教皇の棺はサイプレスで作られています。キプロス神話では、女神べロスがサイプレスの木になったと語られています。ギリシア神話では、この木に関する数々の物語がありますが、最も有名なのが、キュパリッソスの話です。彼は、自分が可愛がっていた鹿を誤って殺してしまったことを嘆き悲しみ、自分で命を絶ちました。アポロは愛していたこの若者を永遠の木にして、この名前が付けられたと言います(古代ギリシャ語で「キパリッソス」は「サイプレス(糸杉)」を意味します)。
サイプレスは、ゼウスの王笏(おうしゃく)、ヘラクレスの棍棒、愛の神エロスの矢を作るためにも使われています。
採油方法:水蒸気蒸留法
外観 :淡黄色~薄黄色の液体
主成分:αピネン、デルタ-3-カレン、セドロール、リモネン
使用方法:フレグランス類、化粧品類、アロマテラピー、食品
Jean-Claude DEYME