夏の終わり、秋の気配

A&P LE JOURNAL SEPTEMBRE 2023

本日ご紹介するのは、トンカビーンです。

あなたの暮らしに喜びをと願いながら、今日も最高の精油探しを続けています。
暑さの中にも秋のしっかりと気配が感じられる今、ブラジルで出合ったトンカビーンの香りについて紹介したいと思います。

この大きな木になる豆が収穫されるのは地面の上。抽出されるアブソリュートは、グルマンノートとアーモンドのような香りを持ちます。トンカビーンは香水の原材料となる貴重な香料です。

 

FÈVE DE TONKA(トンカビーン)

Dipteryx odorata

科名 : マメ科
採油部分 : 種子
収穫時期 : 89 月

 

Dipterix odorata は高さ約 30 メートルの熱帯に生息する木です。ブラジル、ギアナ、ベネズエラが主産地。中米に生息する一般的な樹種で、「ブラジルチーク」と呼ばれる硬い木材となり、特に船舶用に使われています。

ピンクがかった紫色の花の形が二つの翼のようであることから、ラテン語の「Dipterix」が学名に使われています。そしてこの花から厚みのある果実がなり、トンカビーンがその中にひとつ作られるのです。ブラジルでは「クマル」とも呼ばれる種子です。

トンカビーンは、木から落ちた果実の中から取り出されると、乾燥させられます。アルコールに漬けて柔らかくすることで、豆の表面には純粋なクマリンの結晶が形成されます。

トンカビーンの抽出作業を進めると、アーモンドのアクセントを持つ温かくおいしい香りを持つアブソリュートが完成します。トンカビーンは貴重な香水用香料です。

南米では、トンカビーンは幸運のお守りと考えられています。魔法のような効き目があると考えられていて、パナマのアメリカ先住民の部族であるクナ族は、その乱穫を禁止したのもその理由からでした。アフリカ系アメリカ人によってトンカビーンを使って作られたものに、「モジョビーンズ」または「ウィッシングビーンズ」と呼ばれる幸運のお守りがあります。その噂はヨーロッパにも広がり、幸運、愛、お金をもたらすといわれるようになりました。

 

採油方法:溶剤抽出法

外観 :淡茶色~濃茶色の結晶

主成分:クマリン

使用方法:アロマテラピー、香水、化粧品、食品

 

Jean-Claude DEYME