春のエッセンシャルオイル

A&P LE JOURNAL MARS 2022

本日ご紹介するのは、ブラックペッパーです。

貴方の暮らしに喜びをと願いながら、今日も最高の精油探しを続けています。もうじき訪れる春のことを思いつつ、あなたにお話ししたいと思いついた精油は、フレッシュでスパイシー、それからウッディのアクセントを持つブラックペッパー。

マダガスカルに滞在していた時に、ブラックペッパーが栽培されていた場所を訪れたことがありました。深い緑色をしたつる植物で、赤みを帯びた果実をつけます。これを天日で乾燥させた後、蒸留して精油を得るのですが、完成するのはわずかに樹脂を感じさせる、非常に素晴らしい香りです。

 

 

 

POIVRE NOIR(ブラックペッパー)

Piper nigrum

科名 : コショウ科
採油部分 : 花
収穫時期 : 3月/ 4月/ 5月/ 6月/ 7月/ 8月

 

ブラックペッパーの実をつけるコショウの木は、多年生のつる植物です。しっかりと根を張り、伸びやかに育つ自身の体を支えています。茎はしなやかで、木のように頑丈。光沢のある深い緑色を持つ葉は、まるでレザーのよう。小さな花は細長く連なって花穂が垂れ下がり、花が咲き終わるとつけ根が膨らんで、コショウの果実ができるのです。

果実の色は熟成の度合いで異なります。さまざまな種類のコショウは、この熟成度の違いで作られます。グリーンペッパーは、まだ熟していない果実を収穫したもの。ブラックペッパーは、熟してから収穫したものです。

赤みを帯びた果実を数日間太陽の下で乾燥させると、色が茶色に変わり、太陽の光にさらされてしわが作られます。これで、蒸留の準備が完了。得られた精油は、ウッディなアクセントを持つフレッシュでスパイシー・ペッパーな香り。インド産のものは土のような香りを持ち、マダガスカル産のものは樹脂を思わせる香りを持ちます。

コショウの学名は、ラテン語の「piper」「piperis」に由来します。これはギリシア語の「peperi」から派生した言葉で、この言葉もサンスクリット語の「pippali」からきています。

ブラックペッパーは、インドのマラバール海岸に自生していることから、「胡椒海岸」と呼ばれるようになりました。コショウの原産地はカルダモンと同じで、アジアの森林の中心部です。今日、このスパイスの主産地はインドであることは、世界的に知られていますが、中世には高価であったブラックペッパーは「ブラックゴールド」と呼ばれて、これを求めた戦いも繰り広げられました。税金の支払いや、花嫁の持参金の支払いにも使われ、当時は、男性の富は所有しているコショウの量で図られていたのです。

 

採油方法:水蒸気蒸留法

外観 :無色~黄緑色の液体

主成分:βカリオフィレン、リモネン、ピネン類

使用方法:フレグランス類、化粧品類、アロマテラピー、食品

 

Jean-Claude DEYME